JTBの2026年訪日客予測「4140万人」 “量”から“質”へ転換する好機、分散と高付加価値が焦点

JTBの2026年訪日客予測「4140万人」 “量”から“質”へ転換する好機、分散と高付加価値が焦点

2026年1月30日付のコラムでは、JTBが公表した2026年の訪日客数予測が取り上げられ、前年比2.8%減の4,140万人と見込まれていることが紹介された。要因として中国・香港市場の落ち込みが示されている一方で、筆者はこの数字を単なる需要の上下として見るのではなく、日本のインバウンド政策が「量の拡大」から「質の向上」へ本格的に転換する局面に入ったサインとして捉えるべきだと論じている。観光は外部環境の影響を受けやすく、地政学リスクや国際関係の変化が、渡航意欲や路線供給に直結する時代になったという問題意識が全体の基調にある。

これまで日本のインバウンド拡大は、ビザ緩和、国際線増便、円安、そして世界的な日本ブームなど外部要因に支えられてきた。しかし、特定市場への依存が高いほど、急な変化が起きたときに観光産業が脆弱になりやすい。コラムは、需要の減少局面を“守り”として受け止めるのではなく、むしろ「高付加価値化」や「市場の分散」を進める再設計の機会だと位置づける。つまり、人数の最大化だけを追いかけると、混雑・宿泊費高騰・地域住民との摩擦などが深刻化し、長期的には観光の魅力そのものが損なわれかねないという視点である。

“質”への転換を具体化するうえで鍵になるのは、①地域分散(都市集中の緩和と周遊促進)、②消費の単価向上(体験価値・滞在価値の強化)、③受け入れ環境整備(多言語、二次交通、混雑マネジメント)、④市場のポートフォリオ化(特定国依存の低減)といった複数の施策を同時に進めることだ。旅行者は「どこに行くか」だけでなく「何を体験し、どう記憶を持ち帰るか」を重視する傾向を強めており、ストーリー性のある体験、地域ならではの文化や食、自然と学びが組み合わさった商品設計が強みになる。

また、人数が一時的に伸びない局面は、観光地にとって“受け入れを整える時間”にもなる。オーバーツーリズム対策、予約導線の整備、キャッシュレス対応、人材育成など、混雑ピーク時には取り組みにくい改善を進められれば、次の回復局面でより良い体験を提供できる。4,140万人という予測値は、楽観も悲観も誘うが、コラムが強調するのは「数字の受け止め方」そのものを変える必要性である。量の追求から質の最適化へ、観光地・事業者・行政が同じ方向を向けるかどうかが、2026年以降の競争力を左右する。

出典(URL): https://www.travelnews.co.jp/column/nato/2026013009005947915.html

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發布日期:2026-01-30