日産、中間期は営業赤字 本社売却も併用し再建へ

日産、中間期は営業赤字 本社売却も併用し再建へ

日本製鉄や電機に続き、自動車も構造改革が加速する。日産自動車は6日、2025年9月中間連結決算で営業損益が赤字に転落したと発表し、横浜の本社ビルを約970億円で売却しリースバックする資産圧縮策も明らかにした。販売の伸び悩みや関税、人件費・エネルギーコストの上昇、半導体や物流の制約が収益を圧迫。固定費の圧縮と電動化・ソフトウェア投資の両立という難題に直面する。今回の売却は資金調達とバランスシートの改善、拠点統合の柔軟性確保が狙いで、海外事業の再編やアライアンスの再定義も焦点だ。一方、米国ではEV需要の足踏みと価格競争が続き、サプライチェーンの再構築と品質・コスト・納期の再設計が避けられない。車載OSやコネクテッド、生成AIを用いた開発・販売・アフターの効率化が競争力の鍵となる。資産の入れ替えを進めつつ、研究開発とブランド体験へ資源を集中できるかが問われる。投資家はキャッシュ創出力、在庫の健全性、自社株買いと配当の継続可能性を注視。国内産業全体では、電力供給と人材確保、規制・標準の整合が成長投資の前提条件。企業は調達の多元化とリスク管理を徹底し、顧客価値に直結する領域へ選択と集中を進めたい。日産は原価低減と品質改革を柱に据え、サブスクリプションやファイナンス、残価設定の見直しで販売の安定化にも踏み込むとみられる。販売金融の信用コストや下取車の価格下落は利益を揺らすため、テレマティクスとデータ分析を活用した残価管理の巧拙が問われる。サプライヤーとの協創により、軽量化や熱マネジメント、電池リサイクルの実装を急ぐ。現場の自動化と人材の再教育、ソフト職の採用競争も不可避だ。資産売却は短期の収益に寄与するが、持続的な成長には製品魅力と顧客体験の刷新が欠かせない。厳しい環境下であっても、透明な説明責任と中期計画の着実な実行が信頼につながる。逆風下の一手を、実行で示す時だ。継続が力。今こそ。

出典:毎日新聞|日産 9月中間決算 赤字(2025/11/06)

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發布日期:2025-11-06